2002年春季研究集会

4月12日春季研究集会が岩手県水産技術センター(←クリック)で開催されました。

輸入圧力のもとでわが国の沿岸漁業は再編成を迫られています。今回はそうした沿岸漁業のなかから,ワカメ養殖業を事例として,「輸入圧力下の沿岸漁業」をテーマに秋谷重男氏(埼玉大学名誉教授),清水幸男氏(広田町漁協参事),武井篤氏(岩手県農林水産部水産振興課長)の3氏から話題を提供していただきました。その後,参加者との間で熱心な質疑応答が行われました。
参加者は44名と春季研究集会としては盛会でした。

※報告内容の紹介は下記参照
向かって左から,秋谷,清水,武井の各氏
質疑応答
北日本漁業経済学会春季研究集会 報告内容紹介
「流通川下における湯通し塩蔵ワカメの販売」
埼玉大学名誉教授 秋谷重男氏
 塩蔵ワカメを中心に量販店、スーパーにおけるワカメの販売実態が報告された。三陸ワカメ、鳴門ワカメ、或いは近年国産ワカメとの競合関係が強化しつつある中国や韓国からの輸入ワカメの小売店頭における具体的な販売形態や価格序列の事例が紹介された。また、小売店頭での原料産地表示に関する疑問点があげられた。現在のワカメ国内需給を過渡的な段階と位置づけ、今後その需給構造は変わっていくであろうという見解が示された。
「元気あるワカメ養殖業への再挑戦」
広田漁業協同組合参事 清水幸男氏
 岩手県におけるワカメ養殖業の現場での取組みが報告された。量・質共に全国でも有数の養殖ワカメ産地であり続けてきた広田漁協も近年輸入圧力の影響から大きな困難に直面している。これへの対応として同漁協の養殖ワカメの規模拡大化策と協業化・販売パイロット事業・産地直送体制等の試みが紹介された。質疑応答では特に協業化や品質の差別化について参加者の質問が寄せられた。
「ワカメ養殖業構造改善アクションプログラム」
岩手県農林水産部水産振興課長 武井篤氏
 岩手県全体としてワカメ養殖業振興を目指すアクションプログラムが報告された。生産量の維持・拡大、コスト削減、ブランド化等の具体的目標に向けて、県や市町村と県漁連、各漁協等各段階での取組み及び連携の方針が打ち出された同プログラムについて、特に輸入ワカメとの関わりの点で参加者との積極的な意見交換が行われた。
文責:桑原・西山(北海道大学大学院)